2009 Fiscal Year Annual Research Report
フードビジネスのグローカリゼーションに関する理論的・実証的研究
Project/Area Number |
20530343
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Research Institution | Wakayama University |
Principal Investigator |
出口 竜也 Wakayama University, 観光学部, 教授 (60237021)
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Keywords | フードビジネス / グローカリゼーション / 食文化 / 外食産業 / 翻訳的適応 |
Research Abstract |
本研究は、いわゆる「フード・ビジネス」(食関連産業)に焦点をあて、そのグローカル化(同質化という意味でのグローバル化と多様化という意味でのローカル化の同時進行)のプロセスを理論的かつ実証的に検証することを主たる目的とするものである。当該年度に実施した研究において、新たに得られた知見は下記のとおりである。 第一は、いわゆる日本食の世界的普及の進展である。すし、刺身、てんぷらに代表される和食としての日本食だけではなく、日本でアレンジされた外来食(とんかつ、ラーメン、カレーライスなど)が「日式○○」という表現を用いて、特にアジア各国で急速に普及し、それらが現地駐在の日本人相手のビジネスを越えて、現地の人々の食生活に深く浸透しつつあることが確認された。 第二は、こうした動きのなかで、日系の外食産業チェーンが成熟した国内市場から成長の余地が大きい海外市場(特にアジア)に目を転じ、事業展開を進めつつあるという点である。特に、金沢や熊本など、地方に本社を置く外食産業チェーンが中国・タイなどアジアへの展開にビジネスチャンスを見出し、積極的に店舗展開を進めることで、日本以上に存在感を打ち出している点は、近年の新たな動きとして注目される。 第三は、外来食のローカル化、グローバル化、そしてグローカル化の同時進行による多様化の進展である。外来食の導入が進む地域や都市では、現地の食材を活用し、現地の味覚にアレンジして現地式のサービスで提供する店、本場の食材と味とサービスをそのまま持ち込む本格的な店、そして、本場と現地のやり方のいい面を現地の視点でうまく融合した店など、さまざまな業態が混在し、選択の余地が生じるかたちで発展する傾向が見られることが確認された。 以上が、当該年度における研究成果の概要である。これを受け、最終年度にあたる平成22年度はさらなる研究の進展をはかり、最終的なとりまとめを行いたい。
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