2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20530355
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Research Institution | Tohoku Gakuin University |
Principal Investigator |
小林 裕 東北学院大学, 教養学部, 教授 (60170362)
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Keywords | 経営学 / 経営管理 / 企業業績 / 業績指標 / 非財務指標 / 逆説的業績モデル / 倒産 |
Research Abstract |
本研究の目的は、組織の業績基準が不確実・不安定である状況がむしろ組織有効性に寄与するという逆説的業績モデルを日本企業についてマクロ(国)とミクロ(個別企業)の2つのレベルで検証することである。昨年度は、マスコミ記事を使ったデータ分析によって逆説的業績モデルの想定する業績指標の「逆説的」状況が日本企業全体のマクロレベルで一定程度確認されたものの、「逆説的」状況が組織有効性に寄与するという点は明らかにできなかった。そこで、今年度は、組織有効性を組織の「生存」という視点から捉え、倒産企業と継続企業の業績指標の比較研究に関する文献レビューを行った。その結果、特に近年数量的な財務指標だけでなく、テキスト分析を用いた研究によって非財務指標において倒産企業の特徴が確認されているものの、一貫した結果が見いだされていないことも明らかになった。そこで、本研究でも、倒産企業10社の倒産前5年間と業種等のいくつかの基準でマッチングさせた継続企業10社の同時期の5年間の有価証券報告書データに基づいて、各企業が報告書の中で用いた業績指標の種類と変化を比較した。その結果、倒産企業と継続企業の間に業績指標の種類と変化に大きな違いは見られず、業績指標の「逆説的」状況が組織の生存という点で組織有効性に寄与することをミクロレベルで確認することはできなかった。
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