2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20530360
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
平澤 克彦 Nihon University, 商学部, 教授 (70181154)
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Keywords | 経営評議会 / 労働組合 / 共同決定 / 占領政策 / 労働運動 |
Research Abstract |
本研究の課題は、敗戦直後に生成発展した経営評議会がいかに変質し、ドイツ型の労使関係がどのように形成されたかを明らかにすることにある。20年度は、Jurgen Nautzの研究に依拠しながら、ドイツ型労使関係形成の重要な契機となった労働協約法の成立過程について検討した。当初、敗戦直後の労使関係の展開を規定したアメリカ軍の占領政策の展開と飢餓デモなどの問題を重点に研究する予定であったが、飢餓デモや占領政策の労使関係生成での位置づけを示唆するJurgen Nautzの研究を基本に研究を進めることにした。 一般にドイツ労使関係の特徴の一つとして、労働組合の強い労働条件規制を挙げることができる。Nautzによれば、このような労働条件規制を規定した労働協約法の成立は、敗戦直後に生成発展をみた経営評議会活動を契機として生まれたものとみることができる。もともとイギリスやアメリカの占領軍は、労働協約を労使関係の統制の手段と考えていたが、経営評議会の広範な活動、さらに飢餓デモといった労働運動の高揚、労働組合の体質の変化とともに自由な団体交渉制度構築への政策転換が行われたのであった。こうした政策の転換は、なによりも労働組合側の体質の変化に基づくものと考えることができる。だがNautzの研究では、組合側の問題については十分な検討は加えられていない。21年度以降は、組合側の方針の変化を中心に研究を進める予定である。 平成20年度は、このような研究を行ったが、具体的な成果としてまとめることはできなかった。21年度中には組合内どの問題を中心に成果をとりまとめ、公刊することを予定している。
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