2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20530360
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
平澤 克彦 Nihon University, 商学部, 教授 (70181154)
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Keywords | 労使関係 / 経営参加 / 労働組合関係管理 / 経営評議会 |
Research Abstract |
本研究の課題は、第二次世界大戦直後に形成された経営評議会が、その共同決定を変質させることによって団体交渉制を基軸とする労使関係に包摂されたかを明らかにすることにある。平成21年度は、Nautzの研究を基盤に、次のような研究を進めた。 まず比較的資料が充実しているブレーメン州の事例を中心に、研究の基礎となるペーター・ブラントの所論を翻訳するとともに、州経営評議会法成立に関する文献の検討を行った。ここでは、州経営協議会法にかかわる論議は明らかになったとはいえ、経営評議会の権限についての変化は十分に明らかにできなかった。この州経営評議会にかかわる論議については、22年中にその成果を発表する予定である。 こうした歴史研究とともに、その前提となる人的資源管理論、労務管理論という枠組みで共同決定をいかに研究するかという問題についても検討を行った。 ここでは主としてマーティン・ヘプナー氏の近年の共同決定論争に関する論文を中心に検討を行った。近年の論争を概観すると、ドイツでは経営評議会はたしかに労使関係の安定に寄与しているとしても、経営評議会という制度の制定がかならずしも労使間の安定に寄与したと考えることはできない。むしろ経営評議会の形成は、労使関係という枠組みの形成に貢献したとはいえ、企業側には労働組合関係管理という新たな課題を生み出したと考えられる。この点については、21年度に成果としてまとめる予定であったが、研究が遅れたため22年度最初の大学の紀要でその成果を問う予定である。
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