2010 Fiscal Year Annual Research Report
共同プロジェクトにおける日本と中国の思考方式に関する比較研究
Project/Area Number |
20530361
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
高久保 豊 日本大学, 商学部, 教授 (20246804)
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Keywords | 経営学 / 日本 / 中国 / 共同プロジェクト / 思考方式 / 組織 / リーダー / コミュニケーション |
Research Abstract |
本研究課題の目的は、日本と中国との間の共同プロジェクトの実施過程において、日本側と中国側の各組織のリーダーもしくは実施チームのメンバーがプロジェクトに対して描くイメージや考え方のギャップが生じる原因を探求し、こうしたギャップによるプロジェクトの不成功を未然に防ぐためのマネジメントをいかに構想したらよいかを具体化することにある。 平成22年度は、まとめの年度として、これまでに実施してきた聴き取り調査と文献研究の成果を取りまとめ、理論化への道行きを示すことに力を注いだ。なかでも、プロジェクトの成功・不成功に関わるマネジメントの構想について、近年の環境変化に伴う中国側のビジネスモデルの変化に対して日本側がどのような認識を持つことが不可欠なのか、という観点が重要になったことに着目した。 この観点をめぐり、「転換期を迎える中国の経営文化:陰陽和合のダイナミズムを手掛かりに」のなかで、以下の点を指摘した。第一は、中国側を安価な労働力供給の基地と見做す日本側の考え方が曲がり角を迎えており、かかるタイプの発想から抜けきれないことが原因となる不成功に関する指摘である。第二は、日本側と中国側の経営スタイルの双方を貫く規範の存在を前提とし、その共通項をアプリオリに米国式管理ディシプリンに求めようとする誤謬に関する指摘である。第三は、高速成長ばかりに目が奪われ、中国の伝統的な価値観があたかも消失しているかのような錯覚に日本側が陥ることによる判断ミスに関する指摘である。いずれも事実より思い込みが先行するタイプであった。そして、日本側が「陰陽和合のダイナミズム」の発想をどれだけ受容できるかが、成功への一つの示唆として導き出された。
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