2011 Fiscal Year Annual Research Report
ベンチャー企業の成長プロセスにおける創業者精神のダイナミクスに関する研究
Project/Area Number |
20530362
|
Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
平田 光子 日本大学, 大学院・グローバルビジネス研究科, 教授 (10317761)
|
Keywords | 創業者精神 / 持続性 / 経営資源 / 組織能力 / 組織能力 / 生存戦略 / 現場機能 / ベンチャー企業 |
Research Abstract |
本研究の目的は、ベンチャー企業が創業期から組織成長するプロセスにおいて、組織メンバーが創業者精神(Founder Entrepreneurship)を(1)どのように理解し、発展させて、また(2)それらを制度などに埋め込むなどの活用をして、結果として(3)その組織特有の組織能力を蓄積させることで、創業者精神の活用が持続的成長にいかに影響を与えているかを解明することである。したがって、本研究はベンチャー創業者のみならず、現在は大企業の経営者やリーダーが創業者精神を活用することで、持続的成長をより可能にすることができるのではないかという命題を明らかにするものである。 21年度にパイロット調査で解明した創業者精神が組織マネジメント上に影響を与える要素の解明に基づき、22年度は本調査の研究フレーム枠組みを構築し、アンケート調査の詳細項目を開発した。本段階での研究発表として、口頭発表「創業者精神の活用と企業持続性」および論文投稿で「創業者企業段階の生存・復活そして成長」を発表した。 23年度では、東日本大震災の影響で大規模な企業単位にアンケート調査ができない状況にあるため、急遽、事例研究の形式で、調査に協力してくれるファミリー企業を対象に、アンケート調査を企業従業員全員に実施した。この結果によって、ファミリー企業であるか経営者企業であるかは、創業者精神の組織メンバーへの浸透にあまり影響がなく、むしろ、創業者精神を活用した教育を行っているか否かが組織メンバーとりわけ現場従業員の創業者精神の浸透に影響をしていることが判明した。すなわち現場従業員が市場開拓への熱意と姿勢、顧客との関係性、企業の方向性の確認などを創業者精神を通じて理解することで、新製品開発や拡販への熱意を維持するというモデルが判明した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初、大規模な企業アンケート調査を予定していたが、景気低迷が続き企業パネルとしてのアンケート調査の協力が得られなかったが、一方、限られた企業の事例研究の形で、従業員を対象とした定量調査ができたため、返って組織内における組織メカニズムが詳細に解明できた。
|
Strategy for Future Research Activity |
今度の研究については、日本国内で予定していたアンケート調査が取れなかったため、同様のアンケート調査を海外で入手することは断念し、事例研究を中心とした研究を進め、海外向けに研究成果を発信することにしたい。その結果、日本の創業者から発展する組織メカニズムの特徴を国際的に展開する一助としたい。
|
Research Products
(3 results)