Research Abstract |
サービス業の生産性向上と顧客満足改善のための戦略方策を解明するには,サービス業固有の特性を解明し,それに対処する方策を明らかにする必要があると考えて研究に取り組んだ。サービス業固有特性としてのIntangilbility(不可視性)については,サービス顧客に定期的にレポートを送り,サービス企業の活動内容を目に見えやすいようにすることが考えられ,Heterogeneity(異質性,バラツキ)については,サービスの質を高めるための各種プログラムの実施が考えられる。また,Inseparability(サービス供給と消費の同時性)については,サービス要素の一部をあらかじめ準備しておくという取り組みが考えられ,Perishability(損なわれやすいこと,消滅しやすいこと)に対しては,会員カードを発行し,ポイントシステムを導入して,サービス印象をより強めるような取り組みがなされている。筆者のアンケートデータ分析をもとに,どのような要因が,上記の取り組みに対して影響を及ぼすかを,“Strategies for Service Companies to cope with Service Characteristics"という論文において分析した。さらに,サービス業におけるイノベーションの特色についての考察は,「イノベーション生成要素とイノベーション成果についての経営戦略的考察」という論文において行った。通常,イノベーションについては,製品革新が最初に生じて,それから工程革新が生じるといわれているが,サービス業における革新発生パターンは,むしろ工程革新から生じ,最後にサービス革新が生じるという議論を検討し,なぜそうなるかを製造業とサービス業との相互作用という観点から説明した。
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