Research Abstract |
サービス業においても競争が激化する中で,生産性向上と顧客満足改善のための戦略方策の1つとして提携と協働の経営戦略が採用され始めていることを「提携と協働の経営戦略についての基盤的考察」において指摘した。すなわち,各種企業は,各種の集合体(連盟型,接合型,集塊型,有機型)を形成して,環境の厳しさを緩和しながら,各種の資源,情報,エネルギーを交換し,連結することによって,効果的に製品・サービス提供を行っていることを示した。また,各種企業はビジネス・エコシステムと呼ばれる相互依存関係を形成し,各種の戦略的提携(アライアンス)を形成しながら,有効な製品・サービスの提供戦略に取り組んでいることも示した。また,サービス業の経営成果は,サービス業を取り巻く業界環境特性とサービス業のサービス・ケーパビリティを踏まえて生み出されてくることを「サービス業の業界環境特性とサービス・ケーパビリティおよび経営成果との関連」において解明した。サービス業の業界環境特性については,価格競争の程度や品質競争の程度があげられるが,政府規制の程度によって,新規参入の程度や新サービスによる代替の程度が影響されることを指摘した。また,サービス業が備えている様々な能力をサービス・ケーパビリティと呼び,そのサービス・ケーパビリティ(サービス・コンセプト明確化能力,サービス拠点の充実度合い,ローコストのサービス提供システム,等)とサービス業環境特性とによって,サービス業の経営成果が規定されていることを指摘した。その際,サービス業の経営成果には,企業経済成果,サービス品質・プロセス改善成果,サービス満足成果という3つの次元があることを指摘した。これら3つの次元の経営成果を高めることにより,サービス生産性向上と顧客満足改善が実現できるという見通しを得た。
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