2008 Fiscal Year Annual Research Report
ネット上のクチコミ情報がもたらす質的影響と量的影響に関する研究
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20530381
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
澁谷 覚 Tohoku University, 大学院・経済学研究科, 准教授 (00333493)
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Keywords | インターネット / クチコミ |
Research Abstract |
4カ年にわたりネット上のクチコミ情報が受け手に及ぼす影響を、質的側面と量的側面とにおいて測定する研究計画の初年度にあたる平成20年度は、質的影響に関する実証実験を行った。実験では被験者は4つのグループに分かれ、うち2つのグループではクチコミ情報を閲覧する被験者とクチコミの発信者との間の類似性が、属性によって操作された。残りの2つのグループでは、被験者とクチコミの発信者との間の類似性が、属性間の関係によって操作された。結果として、属性間の関係による類似性を有する発信者によるクチコミ情報を閲覧した被験者の方が、属性の類似性を有する発信者によるクチコミ情報を閲覧した被験者より、高関与の場合に限り、態度に対して、より影響を受ける傾向が見られた。 本実験の意義は、ネット上のクチコミ情報を参照する閲覧者が、クチコミの発信者との間にどのような類似性を認知するかによって、当該クチコミ情報の内容から受ける影響の程度が異なる可能性を示したことにある。 企業は、自社の製品やサービスに関して、ネット上で取り交わされるクチコミ情報の内容に介入することはできないが、発信者属性の呈示方法に対する工夫の余地はある。本研究で得られた知見は、このような発信者属性の呈示方法をさまざまに試行錯誤することにより、クチコミ内容が受け手に及ぼす影響を操作することの可能性を示したことにある。
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