Research Abstract |
本年度は,東アジア圏における色と形の嗜好に関し,より具体的な知見の導出を目指した 多くの文献によると束アジア諸国(日本、韓国、中国)の嗜好色は白,青とされており,本調査においてもこれらの色が確認できている.ほかに緑や黒が嗜好性の高い数値を示したのに対し,嫌いな色はいずれも明度・彩度が低い色など,異文化を越えた共通特性が創出された.しかし購買要因に関しては3カ国とも色がそれほど重視されておらず,どの製品領域においても中国は見た目,韓国は模様を重視しているなど興味深い知見が示された,また,色の嗜好を色相だけでなく,明度や彩度を加えた色立体(Lab表色系)で捉えることにより,例えば日本は明度が高く,中国と韓国は中程度を好むなど,個人差の大きい色嗜好の傾向を概略的につかむ可能性が広がったと思われる 一方,形に関する調査では,形の組み合わせを平面に描いた文様を対象とした.その際東アジア圏(日本と韓国)のみならず欧州(フィンランド)まで調査エリアを広げ,東西の文化的背景がもたらすデザイン嗜好の違いを考察した.調査対象となる文様に関して,ハーモニー,コントラスト,プロモーション,シンメトリー,バランスなど,形式原理の観点とDondis(1973)の19対の構図から典型例を文様図版に適応させて図柄を選出した.それらを各国の学生に分類させ,植物,多角形,縞・格子、円・曲線,日本風,欧州風の計30点に絞りこんだ.その後,製品を購入する際に重視する属性と,文様への態度・親しみやすさ・東西イメージに関する調査を実施した,カイ2乗検定等を実施した結果,購買要因とデザインの関係と,文様の嗜好いずれも興味深い結果が導出された.それは韓国とフィンランドが類似し日本が異なる傾向を示したことであり,デザインへの関与が東西の基軸のみでは分類できないことが示唆された
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