2009 Fiscal Year Annual Research Report
流通国際化の歴史的研究:越境のメカニズムとその評価
Project/Area Number |
20530394
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Research Institution | Ryukoku University |
Principal Investigator |
川端 基夫 Ryukoku University, 経営学部, 教授 (60234118)
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Keywords | 小売業 / 外食産業 / 海外進出史 / 小売国際化 / 戦前・戦中期 / 百貨店 / アジア / 中国 |
Research Abstract |
これまで日本の流通国際化研究は百貨店やスーパーといった、いわゆるレギュラーチェーンの海外進出を中心に進められてきた。本研究も初年度は百貨店を中心に検討している。しかし、近年、とくに2000年以降の実態をみると、コンビニや外食、専門店などのいわゆるフランチャイズ企業の海外進出が急増してきており、国際化の主役が交代しつつある。 そもそも、日本での小売国際化研究は欧州の影響を強く受けてきた。欧州は国境を挟んで多数の国が隣接しているため、早い時期からレギュラーチェーンの国際化が進んできた。日本も小売業の国際化は百貨店やスーパーが長らく担ってきたため英国流の研究が受容されてきた。これに対して、アメリカ合衆国では、レギュラーチェーンよりもフランチャイズ企業が早くから国際化してきた。しかし、日本ではフランチャイズ企業の国際化が進まなかったため、フランチャイジングの国際化=国際フランチャイジング研究がほとんど行われてこなかったのである。 そこで、今年度はフランチャイズ企業の国際化に焦点を当てて歴史的な分析を試みた。まず、日本での研究蓄積が皆無に近いことを踏まえて、国際フランチャイジングの先進国であるアメリカでの研究をサーベイし、その特徴と課題を明らかにした(龍谷大学論集49-1に掲載)。一方で、日本の国際フランチャイジングの実態を、歴史的な経緯も含めて明らかにした。その結果、日本とアメリカの国際フランチャイジングの大きな違いやアメリカの研究成果の理論的な偏りが明らかとなり、それを踏まえた新たな研究フレームの必要性が明らかとなった。 これらを踏まえて、今年度は日本企業の国際フランチャイジングの研究に集中し、その成果を『日本企業の国際フランチャイジング』(新評論)として刊行した。これにより、流通国際化の歴史が一層明確なものとなった。
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