2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20530400
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
蟹江 章 北海道大学, 大学院・経済学研究科, 教授 (40214449)
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Keywords | 内部統制 / 内部統制報告制度 / 内部統制監査 / コーポレートー・ガバナンス |
Research Abstract |
今年度は,昨年度実施したわが国の内部統制監査制度の実態調査に基づいて,内部統制報告・監査制度の方向性について再検討した。とくに,現行制度における有効性評価とその報告のあり方が,果たして内部統制の機能の向上や市場・社会からの信頼を高めるために有効かどうかを批判的に検討している。 こうした検討によって明らかになったことは,内部統制の有効性評価が形式に偏りすぎているということである。具体的にいえば,内部統制が「有効である」という報告,あるいは「重要な欠陥」の公表だけに注目が集まっているということである。こうした点を改善するためのヒントとして,フランスの内部統制報告とその監査について昨年度に引き続き詳細な検討を行った。 また,アメリカにおいて内部統制がどのような経過を経て発展してきたのかについて検討した。20世紀初頭のアメリカにおける監査の発展過程の検討を通じて,監査の手法および目的と内部統制の発展との関わりについて明らかにした。 さらに,フランスにおける内部統制のフレームワークが,リスク・マネジメントという要素を加えて再構成されたことに鑑み,リスク・マネジメントと内部統制との関係を考慮した内部統制報告・監査制度の日米仏の比較検討へと考察の領域を拡張することが必要であるとの認識を得るに至った。最終年度である平成23年度においては,内部統制の有効性だけではなく,リスク・マネジメントの有効性確保に対する監査の関わり方についても検討する予定である。
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