2009 Fiscal Year Annual Research Report
企業戦略と研究開発活動-非財務指標によるモデル分析-
Project/Area Number |
20530401
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
青木 雅明 Tohoku University, 大学院・経済学研究科, 教授 (90202473)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
間普 崇 関東学園大学, 経済学部, 講師 (10438749)
松田 康弘 東北大学, 大学院・経済学研究科, 准教授 (70451507)
|
Keywords | 管理会計 / 非財務指標 / 研究開発活動 |
Research Abstract |
本研究の目的は,企業戦略と研究開発活動に関係する非財務指標を見いだし,戦略と研究開発活動の関係を分析することである.今年度は,Kothari et al.[2002]のモデルを修正した分析モデルを用いて,非財務指標として着目した特許出願数と利益の不確実性との関係に焦点を当てて分析を行った. 分析結果は,研究開発費は利益の不確実性と正の相関を持ち(研究開発費の支出が大きくなればなるほど将来得られる利益の不確実性が大きくなる),特許出願数は利益の不確実性と負の相関を持つ(特許出願数が多くなればなるほど将来得られる利益の不確実性は小さくなる)というものであった.これまで行ってきた分析では,特許出願数は研究開発費とほぼ同じ振る舞いをすることが示されてきたが,今回の分析では,利益の不確実性に対して研究開発費と特許出願数は別の影響を与えることが示されている.非財務指標としての特許出願数の特性を探る意味で,今回の研究成果は大きな意義を持っている.なお,この分析結果は学会発表「利益の不確実性と研究開発活動」で報告している. 研究開発活動への投資は,いわゆる,intangiblesへの投資であり,企業の中・長期戦略とも大きな関わりを持っている.今年度は,intangiblesへ投資が管理者の行動へどのような影響を与えるのかという点に焦点を当てた分析も行った.具体的には,エージェーンシー理論の多期間モデルを用いて,非財務指標を業績評価指標として用いた場合,エージェントである管理者がどのような行動をとるかについて分析を行っており,その成果については学会等で発表する予定である.
|