2010 Fiscal Year Annual Research Report
簿記の記録・計算システムの発展プロセスに関する研究
Project/Area Number |
20530403
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
原 俊雄 横浜国立大学, 経営学部, 教授 (50265378)
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Keywords | 複式簿記 / 簿記理論 / 簿記教育 / 簿記史 / 簿記教科書 |
Research Abstract |
本研究は,わが国及び英米の文献・資料を手がかりに,明治期に英米の簿記書が輸入されて以来,あまり進展が見られないといわれるわが国の簿記学を再検討すること,特に決算中心主義の簿記学に傾斜している現状の簿記教育に対し,日常的な記録・計算プロセスにおいて会計管理という側面も重視した簿記学の構築を企図するものである。 本年度は,不易,普遍的な性格を有するといわれる簿記の記録・計算システムにおいて,大陸式英米式簿記という,時間的・空間的異同の見られる決算手続と帳簿組織に焦点を当て,これまでに入手した英米の文献を中心に検討を行った。決算手続については,わが国の一般的理解とは異なり,米国においては損益勘定から損益計算書,繰越試算表から貸借対照表を作成するという手続は行われておらず,財務諸表の作成は帳簿の締切後の手続とされており,英国においても,振替仕訳を行わず,帳簿上の勘定あるいは試算表等から財務諸表が作成されていることが明らかになった。近年,登場した包括利益計算書(総認識利得損失計算書)も,両国ともに決算勘定との関連は見られない。また,キャッシュ・フロー計算書についても財務諸表をベースに作成されており,わが国で一部に見られる決算勘定と財務諸表の関連づけは考えられていない。このことは,日常的な会計管理に資する帳簿記録を利用して財務諸表が作成されるのであり,その逆ではないこと,そして簿記の記録・計算システムにおいては,主要簿だけではなく補助簿を含めて検討すべきであるということを再認識させるものであることを指摘した。 以上の研究成果について日本会計研究学会第69回大会において報告し,その内容に加筆修正したものを学術雑誌に公表した。
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Research Products
(2 results)