2009 Fiscal Year Annual Research Report
環境会計情報に基づく株式ポートフォリオの収益性に関する分析
Project/Area Number |
20530410
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
朴 恩芝 Kagawa University, 経済学部, 准教授 (00345860)
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Keywords | CSR / 環境会計 / 環境コスト / 環境投資 / 株式リターン |
Research Abstract |
本研究は、環境会計を含む企業の社会的責任に関する全体的な理論検証とともに、今まで困難とされた環境会計情報の企業内および企業間比較を模索する第一段階と、株式ポートフォリオを組み、収益性の分析を行う第二段階に分けて展開されている。 今年度はこのなかでも、特に後者に焦点をあてている。研究全般を支える環境会計情報を含む企業の社会的責任(CSR)に関する検証を進める一方で、もっとも独創的な研究である環境会計情報に基づく株式市場の動きに関する本格的な実証分析に重点をおいたのである。なかでも、投資家が企業の環境コスト情報を利用して、どのような投資意思決定をおこない、その結果が資本市場における株式リターンにどうあらわれるのかに関する分析は、ほかでは見られない特徴的なものである。ここでは、投資家が環境投資を積極的におこなう企業に投資をする場合は、そうでない企業に投資するのに比べて、より高い株式リターンが得られると予測した。結果、環境コストに基づくポートフォリオには、規模をコントロールしたうえで、長期的な観点から明確な平均以上の株式リターンが得られた。つまり、投資家は企業の環境投資を適切に評価して投資判断を下したことになる。 この分析の結果から、常に環境会計の限界とされた環境会計データの信頼性問題、企業内および企業間の比較可能性の問題、投資意思決定有用性の問題を、一定の水準において解決できる手助けとなると期待される。 研究の成果は、大学の研究雑誌『経済論叢』および日本社会関連会計学会の学会誌『社会関連会計研究』に投稿し、学術論文として一定の評価を得ている。
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