2009 Fiscal Year Annual Research Report
内部統制を介したフランス・コントロール論へのガバナンス概念の包摂
Project/Area Number |
20530413
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
大下 丈平 Kyushu University, 経済学研究院, 教授 (60152112)
|
Keywords | 管理会計 / マネジメント・コントロール / ガバナンス / 内部統制 / フランス / ガバナンス・コントロール |
Research Abstract |
本年度は単著1冊、論文2編、学会報告2回の研究成果を出すなかで、研究課題の「内部統制を介したフランス・コントロール論へのガバナンス概念の包摂」をめぐり、結論的に4つの論点を明らかにできた。 (4つの論点) 1 管理会計の発展は企業組織の経済モデル化の次元で考えるべき 2 マネジメントの主たる領域が技術・生産志向性から組織・市場志向性へと移行:そのことがコントロールのパラドックス性を認識させた 3 マネジメント・コントロールはそのパラドックスを緩和するための方法論の体系として再編されるべし 4 企業不祥事、会計不正を背景とした内部統制論議はガバナンスをコントロールする方策を考えさせている(ガバナンス・コントロールの構想) とりわけ、本年度の研究成果として注目できるのは、最後のガバナンス・コントロールの構想にある。これはまだ試案の段階ではあるが、研究論題の「内部統制を介したフランス・コントロール論へのガバナンス概念の包摂」を試みる中で獲得したものであり、それはコーポレート・ガバナンスとマネジメント・コントロールを結び付けるためのコンセプトともなっている。この点は、わが国においても国際的な会計基準(IFRSなど)への対応を求められる中で、コントローラーの役割の変化・拡大とも関わって、重要な論点となってくると思われる。 さらに、もう1点の副次的な研究の成果として提示できるのは、生産、マネジメント、ガバナンスという経営上のライン機能を示すコンセプトと、管理会計(工業会計/分析会計を含む)をベースとしたコントロール(マネジメント・コントロールとガバナンス・コントロール)という経営上のスタッフ機能を示すコンセプトの2つを整合的に明らかにすることができた点にある。ここからも、内部統制論や内部監査論との連携を図りながら、ガバナンスのコントロールを組み込んだ新しいコントロール論が構想できるであろう。
|
Research Products
(6 results)