2010 Fiscal Year Annual Research Report
内部統制を介したフランス・コントロール論へのガバナンス概念の包摂
Project/Area Number |
20530413
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
大下 丈平 九州大学, 経済学研究院, 教授 (60152112)
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Keywords | コントロール / 内部統制 / ガバナンス / 管理会計 / パラドックス / フランス |
Research Abstract |
本研究では、最終的な研究成果として、申請者の独自の概念としてガバナンス・コントロールというコントロールの新しい概念を試みに提示した。これが最大の成果である。まず内部統制の評価の制度化を契機に、方向は違うが2つの同型の三層構造が現れてくる。下降3層構造〈マネジメント/コントロール/監査〉はトップダンの3層構造であり、上昇3層構造〈ガバナンス/内部統制/内部監査〉は、内部統制を介して下降3層構造と繋がりながらも、方向としてはガバナンス機構を規律づけ、支援する。後者をガバナンス・コントロールと呼んだ。内部統制の制度化の動きを《ガバナンス・コントロール》というコンセプトで捉える本研究での試みは、コントロール論に新領域を生み出す試みとなっている。 本研究は、確実に進みつつあるマネジメントやガバナンス、さらにコントロールや会計における基本的な思考の変化に注目してきた。そして、そうした思考の変化のうちから論点を折出し、会計やコントロールの新しい形での理論化を試み、そこから現実的な変化の意味を明らかにし、その対策を構想することであった。上紀のガバナンス・コントロールのコンセセプトを導出する過程で得た本研究のもう一つの貢献は、次のようなものである。つまり、生産、マネジメント、ガバナンスという経営上のライン機能を示すコンセプトと、管理会計(工業会計/分析会計を含む)をベースとしたコントロール(マネジメント・コントロールとガバナンス・コントロール)という経営上のスタッフ機能を示すコンセプトの2つを整合的に明らかにすることができた点にあるであろう。
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Research Products
(5 results)