2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20530415
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Research Institution | Takasaki City University of Economics |
Principal Investigator |
阿部 圭司 高崎経済大学, 経済学部, 教授 (70277771)
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Keywords | 利益予測 / 新興市場 / 市場の評価 |
Research Abstract |
平成22年度には,前年度から引き続き,経営者による利益予測の精度を分析した. 市場別では東証と比較してジャスダックに上場する企業ほど楽観的な予想をしやすいことが分かった。加えて,2期間での利益の傾向により,予想誤差に違いがあることが判明した.増益になる企業群の予想誤差は平均して正の予想誤差,つまり悲観的な予想が大勢を占める傾向にあり,減益となる企業群では全体と同じく平均して負の予想誤差を取る,というものである.また,経常利益と当期純利益では,当期純利益の誤差が大きいことが,期首と中間期では中間期で予想誤差が縮小することが分かった. 予想誤差の分布を用いた分析からは,分布に期首から中間期にかけて誤差ゼロに集中する傾向が認められた.時間の経過につれ,精度が高まる訳なので当然の傾向であるが,ゼロのすぐ右側と左側では歪んだ頻度が観察され,特にゼロのすぐ右側に多くの標本が集まるという中央の非対称性が認められた.経営者としては公表する実績値と予想の間に正のサプライズを望むため,先行研究では利益調整の証拠として指摘されているが,本研究では,この現象は全標本及び東証上場の場合において,黒字かつ増益となる2つのグループに限って観察され,ジャスダック上場企業にはあまりみられない現象であることを指摘した.また,テールの非対称性として指摘された,極めて楽観的な予想誤差は市場に関わらず減益あるいは赤字のグループに観察され,ジャスダック市場上場企業では特に大きいことが分かった.黒字かつ増益となるグループではテールの非対称性は観察されなかった.
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Research Products
(1 results)