2010 Fiscal Year Annual Research Report
保険会計の構造分析による全面公正価値会計導入の影響分析
Project/Area Number |
20530431
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
松本 敏史 同志社大学, 商学部, 教授 (90140095)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
徳賀 芳弘 京都大学, 経営学研究科, 教授 (70163970)
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Keywords | 会計学 / 保険会計 / 公正価値会計 / 金融負債 / 保険負債 |
Research Abstract |
本研究の目的は,保険契約の会計(以下,保険会計)を中心に公正価値会計に内在する特性を明らかにし,当該会計システムがわが国の産業界に与える影響を分析することである。具体的には,第1に,国際会計基準審議会が審議を進めている保険契約と,それと密接に関連する他の項目を取り上げて,公正価値会計の動向とその特徴を明らかにすること,第2に,公正価値会計がわが国の産業界に及ぼす影響を分析することであった。 今年度は当該研究の最終年度にあたり,第2の目的に注力する計画であった。しかし,金融危機により公正価値会計をめぐる理論的問題が深刻なかたちで顕在化したことを受け,保険業を含めた金融業に対する公正価値会計の適用について理論的研究を深めることとした。具体的な検討事項をあげると,以下のとおりである。 原価会計と公正価値会計のモデル上の特徴・相違,混合属性測定モデルのバリエーション,保険負債に公正価値測定を適用する場合に問題となる測定属性や認識タイミング,金融負債を公正価値により測定した際に生じる可能性のある評価益に関する負債のパラドクスの問題,および金融負債に対する公正価値オプションの適用による評価益に関する野村ホールディングスの事例などである。 これまでの研究を通じて,公正価値会計の様々な理論的特徴,公正価値会計が各種の会計取引に対してもたらす変化,および制度的・実践的な手続きにおいて首尾一貫性が欠如する事象などが浮き彫りとなった。それと同時に,さらに検討するべき課題も少なからず残されている。さらなる研究の蓄積に努めたい。
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Research Products
(5 results)