2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20530436
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
草郷 孝好 関西大学, 社会学部, 教授 (30308077)
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Keywords | ウェルビーイング / 人間開発指数 / 地域生活実感指標 / 兵庫県 / 開発指標 / 先進国 |
Research Abstract |
本研究は、GDPに代表されるような従来の開発指標に代わる新たな指標構築(HDI-I)に取り組み、人々のウェルビーイングを多面的に捉えようとする指標に着目し、文献研究によって、ウェルビーイングを左右する要因を整理、概念化した。概念化にあたり、経済のみならず、社会的関係性(信頼、つながり)、生活環境の質、政治的参加の度合い、地域文化や風土への理解などがウェルビーイングを高めるために欠かせない要素であること、また、従来の指標とは異なり、人々の声や考え方を表す主観データを生かすことの重要性を確認できた。研究の最終年にあたり、概念化されたウェルビーイング指標(HDI-I)の実効性や限界を確かめるため、兵庫県内の2つの地域コミュニティを対象にして、HDI-Iを「地域生活実感指標」と称し、同指標構築に関する実証研究を行った。本調査は、小規模サンプルによるパイロット研究であったが、都市部と農村部のコミュニティにおいて実施し、具体的には、地域住民から、ウェルビーイング度の評価、個人の価値観、個人の生活行動評価、属性に関するデータを調査票に基づいて回収した。さらに、半数の回答者からは、個別インタビューを実施した。これらの2種類のデータを詳細に分析した結果をもとにして、地域コミュニティの実証研究の成果報告書をまとめ、調査関係者に配布、有意義なコメントを得ることができた。また、兵庫県民意識調査(平成14年度から平成20年度までの経年データ)を用いて、地域生活実感指標を計測し、本指標が地域政策形成や政策評価に資する可能性を見出すことができた。
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