2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20530440
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
高橋 征仁 Yamaguchi University, 人文学部, 准教授 (60260676)
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Keywords | 青少年 / 社会化 / 悪 / 領域特殊アプローチ / prudence / 免疫モデル / 比較文化的研究 |
Research Abstract |
本研究は、青少年における規範意識の形成プロセスを、多様な<悪>の観念の分類と序列化という観点から捉え直そうとするものである。こうしたアプローチによって、青少年における道徳的社会化は、規範の遵守や同調性の増大プロセスとしてではなく、「免疫」形成のプロセスとして説明できることが明らかになった。予算の制約上、調査規模を縮小しなければならなくなった点はあるが、理論面に関しては期待以上の成果を得ることができた。 A.先行研究及び理論モデルの研究:既存データの再分析を通じて、悪のグレースケール形成とT.チュリエルらの領域特殊アプローチの共通性、相違点が明らかになった。青少年の道徳的社会化は、チュリエルのいう道徳的/慣習的/個人的領域区分がより徹底されるだけでなく、より細かなカテゴリーが形成されていることが判明した。 B.山口市内の大学生に対する調査研究を継続することで、尺度やワーディングのもたらす影響を検討した。またDITやアイデンティティ・ステイタスとの関連も示唆された。 C.日本と台湾の比較調査研究のデータを再検討することで、prudential areaが規範の複合的解釈によって構成されること、大きな文化的ギャップは領域区分の差異に基づくものであることが判明した。 D.逆転写にもとつく規範解釈、規範の3領域と複合性、<悪>の特異性分別などの点において、青少年における道徳的社会化は、<免疫>形成のプロセスになぞらえることができる。これは、道徳的社会化研究を刷新する新たな社会化モデルとして提唱される。
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