2008 Fiscal Year Annual Research Report
現代移民研究の分析課題と日本におけるナショナリティの変容
Project/Area Number |
20530455
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
伊豫谷 登士翁 Hitotsubashi University, 大学院・社会(科)学研究科, 教授 (70126267)
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Keywords | 移民 / 境界 / 場所 / グローバル化 / ナショナリティ |
Research Abstract |
2008年1月末、ダラス(テキサス)のサウス・メソジスト大学(SMU)においてJames Hollifield氏の主催で開催されたシンポジウム「Japan's New Nationalism」では、日本の移民を産業化の展開との関わりから「Crossing the Line: Migration and Japanese Capitalism」と題する報告をした。同シンポジウムにはアメリカ在住のアジア系研究者も多く参加し、その成果は、近いうちにアメリカの出版社から公刊される。7月から11月までオーストラリア国立大学に滞在し、テッサ・モーリス=スズキ氏の主催するシンポジウムにおいて、「Re-considering“Globalization and Asia“」と題した基調報告をした。また、モーリス=スズキ氏とは、彼女が出版した『北朝鮮へのエクソダス』を中心に、日本という領域の形成とボーダーの曖昧さに関する研究会を定期的に開催するとともに、滞在中、オーストラリアのアジア化をテーマとした資料収集ならびに調査をケアンズ、ダーウィンで行い、第二次世界大戦、その後の産業化や観光が、日本を含めたアジア諸地域からオーストラリアへの人の移動に与える影響を調べた。12月15日には、サスキア・サッセン氏を招聘し、新しく翻訳した『グローバル・シティ』を巡るワークショップを開催した。同書は、新聞(朝日、日経、毎日など)や雑誌(POSSE)でも取り上げられ、移動が創り上げる場所としてのグローバル・シティ論の射程と課題を巡って活発な議論が展開され、100人を越える研究者の参加を得た。大学院博士課程との共同研究「移動と場所」を発足し、定期的な研究会を開いてきた。同研究会は、今年度も継続してつづけ、「移動から場所を問う」ことからいかなる課題を設定することができるか、明らかにしていく。
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