2010 Fiscal Year Annual Research Report
現代移民研究の分析課題と日本におけるナショナリティの変容
Project/Area Number |
20530455
|
Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
伊豫谷 登士翁 一橋大学, 大学院・社会学研究科, 教授 (70126267)
|
Keywords | 移民 / 移動 / 場所 / グローバリゼーション / ナショナリティ / 境界 / 移民研究 / ポストコロニアル |
Research Abstract |
移民研究を他の研究領域の研究者との交流を深め、その分析枠組みを問い直すという本プロジェクトの目的は、1)内外の研究機関との交流ならびに調査、2)研究成果の公表、3)移動に関わる本の出版という、3つの方向で進めた。1)に関しては、オーストラリア国立大学との研究交流を進めるとともに、シドニー郊外におけるイスラム系住民居住区の聞き取りを実施した。また、浜松市の国際交流協会を中心とした多文化共生実践の状況を調査するとともに、現状が抱える問題を現地調査者と議論する機会を持った。さらに、サスキア・サッセン(コロンビア大)『領土・権威・諸権利』(伊藤茂訳)を監修し、その翻訳過程で彼女との間で移民研究とグローバリゼーション研究について意見交換を行った。2)については、移民研究の分析課題としての不安定就業をめぐるシンポジウム「『移動』と『場所』をめぐって」(2010年12月)を一橋大学において開催し、青木秀男(社会理論・動態研究所)ならびに吉原直樹(東北大学)を招聘し、日本の雇用状況の変化とナショナリズムの関わりについて議論を深めた。さらに、日本社会学会と日本学術会議共催のシンポジウム(2010年11月)において報告した。また、台湾交通大学におけるシンポジウム(2011年1月)において、日本の越境移動研究の現状ならびに報告をおこない、交通大学の研究者と意見交換をするとともに、台北における外国人居住区の支援団体の聞き取りを行った。3)に関しては、2010年8月には、『移動から場所を問う』研究の継続として、大学院博士課程の院生ならびに若手研究者とともに合宿を行い、移民研究の枠組みを問い直す本を出版するための準備を進めた。本書はすでに出版社も決まっており、近い将来に公刊予定である。
|