2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20530461
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
鶴巻 泉子 Nagoya University, 国際言語文化研究科, 准教授 (70345841)
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Keywords | 社会学 / 地域主義 / エスニシティ / 移民 / フランス |
Research Abstract |
本研究はブルターニュとアルザスを例に、両地域が1990年代以降に見せる「新しい地域主義」の社会的志向性を、地域の「内側のマイノリティ」としての移民の統合問題に着目して考えようとするものである。初年度である20年度は両地域で比較可能な地域主義/移民アソシエーションを選定するための予備調査と、基本的な文献・公的機関での統計収集に多くの時間を費やした。その結果、両地域での調査都市(と地区)を絞り、ブルターニュではポンタネゼン地区、アルザスではニューオフ地区に決定したが、質的調査のためのアソシエーションを絞りきれなかった。両地域の地域主義の在り方と移民に対する社会表象の違い、そして移民定住の時期の違いが、両地域でのアソシエーションの在り方の違いの背景となっているためである。そもそもアルザス地域では「地域文化擁護」を全面に押し出す団体は政治的にかなり保守的であるか、あるいは政治色を全く持たなくとも、移民問題とは一線を画している団体が殆どである。他方では、両地域に移民出身者が定住した時期の違い(:アルザスでは1950年代、ブレストでは1970-90年代)を反映して、ブレストでは移民出身者(特に第1世代)が「出身地(国)別」団体を多く結成しているが、アルザスではそれが「活動内容別」団体となっている。したがって単に「両地域で同様の活動を展開する、比較可能な団体の選択をすること」は不可能ということが分かった。次年度は質的調査を中心とするため、ある程度選定した団体を訪問し聞き取り調査をしつつ、上に挙げた問題を解決する方法を探さねばならないだろう。つまり団体に的を絞った調査というよりは、移民地区(とされる地区)自体に的を絞った調査をする必要がある。主要なアクター、住民のアソシエーション活動への関わり、住民から見た地域文化、などが調査とその分析の中心となる予定である。
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Research Products
(1 results)