2008 Fiscal Year Annual Research Report
周辺的土地利用の実態-ベトナム農村における市場経済と非市場経済の狭間
Project/Area Number |
20530465
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
藤村 美穂 Saga University, 農学部, 准教授 (60301355)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
辻 一成 佐賀大学, 農学部, 准教授 (00253518)
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Keywords | 周辺労働 / 土地利用 / 移住 / ベトナム |
Research Abstract |
本研究は、急速な勢いで農業や生活の近代化が進んでいるベトナム・ラオスの農村における環境変化やそれへの対応のあり方について、経済的には「生業」として位置付けられていないような日常的な労働(=周辺労働)をめぐる諸問題、それが行われる場についての実態調査をとおして把握することが目的である。 昨年度は、すでに研究蓄積や調査のための人間関係があるラオスのアタプー県、ソムスック村(オイ族が多い)にては質問紙を用いて200戸あまりの調査を行った。ベトナムについては、分担者や現地の共同研究者と協議を行い、予備調査やデータ収集を行った結果、ホア・ビン省、ミット村(ザオ族が多い)を調査対象地とすることに決定し村の概要について予備調査を行った。調査全体の予定は以下の段階で考えていたが、両調査地において(2)のかなりの段階までの調査を行うことができた。 (1)キー・インフォーマントへの聞き取り、および実態調査=自給活動、資源利用の全体像、文化的慣習など、生活の全体的な把握。(2)資源の調達場所、担い手、市場経済化の実態、直面する問題、変化、判断基準など、周辺労働の実態にかかわるトピックについてのリストアップ。(3)対象を絞っての調査の準備=調査項目と場所の決定。(4)質問項目を決定し、それにもとづいた実態調査。 両村は、ともに稲作を中心に生業を営む村であり山麓部に位地するが、前者は以前から水田稲作を行い、後者は30ほど前までは焼畑移動耕作を行っていた村である。ともに祭祀や病気など災害への対処のための村落組織が存在するが、土地や資源の管理のあり方や、野性植物の利用、野菜の栽培頻度などは異なることがわかった。これらの違いがどこから来るのかを考えながら調査を進めると、興味ある結果が得られると思われる。調査地村落の性格から、ラオスについては、食物(栄養)摂取と健康という観点から、ベトナムについては宗教に焦点をあてた調査を行うことになる。
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