2008 Fiscal Year Annual Research Report
時間資源配分と生活の質との関連をめぐる社会学的研究
Project/Area Number |
20530476
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
藤村 正之 Sophia University, 総合人間科学部, 教授 (00190067)
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Keywords | 生活時間 / QOL |
Research Abstract |
生活の質の向上とも関連して希少資源たる時間の価値が浮上している現代日本で、個人と家族の生活の基本的分析要素であった「貨幣と消費」に対比して「時間とその配分」を重要な変数と考え、それをめぐるライフスタイルの実態や階層差、社会心理の解明を目的として研究を進めた。 3年間の研究のうち、平成20年度は、主に(1)基礎理論研究としての「時間の社会学」「生活の質」の文献研究、(2)生活時間関係のデータ分析に向けた先行研究の検討をおこなった。(1)に関しては、社会学研究における生活時間研究の位置を明確にするために、歴史社会学や記憶論などマクロな歴史性をおびた時間、ライフコース論やライフヒストリー論など人の生涯にかかわるメゾ的な時間などを比較して、理論・実証の分析枠組・関連概念などについて整理をおこなった。また、生活の質研究においては、経済変数と対比される客観的社会生活指標の構成や主観的社会心理学的指標の導入状況、医療・看護分野におけるQOL研究の実情について理解を深めた。(2)に関しては、平成21年度実施予定の調査企画・実施に向けて、先行実施されている生活時間調査研究とその分析手法などについて知見を深めた。 家計経済研究所や連合生活研究所の生活時間調査を参考に、a.本人・配偶者双方による生活時間配分パターン類型の可能性、b.生活時間・世帯構成・家計状況の相互関係による貨幣資源と時間資源の関連分析、c.生活時間・生活行動・生活意識の関係と生活の質の向上への影響について、仮説の検討をおこなった。以上の(1)(2)に基づき、標準化調査での調査項目選定の予備作業をおこなった。
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