2009 Fiscal Year Annual Research Report
世界諸地域におけるノンフォーマル教育とエスニック文化-NGOの対処と政府の役割
Project/Area Number |
20530480
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Research Institution | Tsuda College |
Principal Investigator |
加納 弘勝 Tsuda College, 学芸学部, 教授 (20214497)
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Keywords | ノンフォーマル教育 / フォーマル教育 / エスニック文化 / エスニック教育 / NGO / ストリートチルドレン / イスラム文化の継承 / 地域内・地域間比較 |
Research Abstract |
研究代表者の主たる研究地域である中東地域では、トルコやアラブの教育やNGOを検討した。中東に近いアフリカ地域ではスーダンやウガンダを訪れ、基礎データを収集した。 教育水準の高いウガンダでは、成人教育が伝統的で非公式的に実施されているが、教育は子供のためとの考え方が19世紀から強まり、成人教育はあまり配慮されてこなかった。しかし、2000年代初めまでの成人教育の経緯や、小学校教育における識字運動などの研究は進められ、政府が教育改善を重視する現れである。ウガンダ国内のブガンダ王国で、国王への熱狂的な支持を示す場にも遭遇した。 訪問が容易でないスーダンを訪問し、教育の「マージナル化」研究や、地方別の学校格差(例えば、01年、教員1人当たりの学生数は首都ハルトゥームで41人、西部ダルフールで72人)の検討や、紅海地域でのエスノ地域主義の台頭と教育水準などの研究がなされている。 トルコでは、イスラム教育を担う宗教学校(イマーム・ハティップ)の動向などとは別に、民族文化・宗教活動を伝承する仕組みを地方都市ブルサで確認した。ブルサでは、民族音楽の習得を支援するため地区の高年齢者が茶屋の一つに集まり、夜遅くまで練習と指導をしていた。また、神秘主義教団メブラーナ教団のブルサ支部では毎日、「自分たちの集会場」に修道者が集って回転などの訓練をし、地区の若者たちも集って見守っていた。宗教活動継承の具体的な仕組みが判明する事例である。中東・アフリカ地域の教育に関する情報や分析は、日本では相対的に少ないはれども、当該地域では教育や文化研究が進められている。現地での研究成果を取り入れ、地域内・地域間比較を行って各情報を関連づはることが求められている。
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Research Products
(2 results)