2010 Fiscal Year Annual Research Report
「緊急地震速報」の導入と災害情報の適正化に関する研究
Project/Area Number |
20530481
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
中森 広道 日本大学, 文理学部, 教授 (80297754)
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Keywords | 緊急地震速報 / 地震 / 津波 / 災害情報 / 災害報道 / 避難 / 警報 / 情報の適正化 |
Research Abstract |
平成19(2007)年に本運用が開始された気象庁の「緊急地震速報」は、地震発生時に生じる比較的弱い揺れ(P波)をどこかの地震観測点で感知した段階で、被害などを起こす強い揺れ(S波)の到達予想時間と予想震度を発表するものであり、この速報により、秒単位ではあるが強い揺れを感じる以前に人々は地震への対応を可能となった。現在、一般の人々も、この速報をテレビ・ラジオ・携帯電話などによって得ることができるようになり、一部の行政、公共機関などでもすでに導入・活用しているところもある。しかし、この速報を一般に伝えることについて、検討課題や問題点があることから、まだまだ慎重な自治体・企業体などもあり、必ずしも、この速報の一般の人々への伝達について多くの人々の合意が形成されているとはいえない点もある。そこで、この「緊急地震速報」についての意識・評価ならびに対策の実態を調査によって検証し、その知見から、この速報の適正化を考究することが、この研究の目的である。 今年度は、平成20年度・同21年度に実施したアンケートを中心とした調査について、調査結果の検討、データの整理などの作業を進めたる研究の成果としては、これまで実施した「緊急地震速報に関する一般住民の意識調査」「緊急地震速報の集客施設での導入状況」「緊急地震速報の地方自治体の導入状況」「津波警報発表地域(2010年2月のチリ中部沿岸の地震によるによる津波警報)における緊急地震速報の評価」などのアンケート調査を検証した結果、「緊急地震速報の認知度は高いものの理解は必ずしも十分ではないこと」「集客施設・自治体ともに、『緊急地震速報の導入がすぐにできない理由』として、『情報の発表による混乱への懸念』ではなく『予算や設備の問題』が多いという傾向がみられる」などの結果を得ることができた。
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Research Products
(2 results)