2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20530486
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
長谷 正人 Waseda University, 文学学術院, 教授 (40208476)
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Keywords | ポストモダン / テレビドラマ |
Research Abstract |
本研究は、最終的には山田太一氏の70-80年代のテレビドラマ作品を手がかりに、テレビドラマとポストモダン社会の関係について考察する予定である。 今年度は、主として二つの研究を中心に行った。一つは、山田太一氏へのインタビューである。山田太一に作家としての姿勢を長時間にわたってうかがった。山田氏が昨年ネットで反響を巻き起こした「がんばれば夢はかなうというのは傲慢である」という発言と「ふぞろいの林檎たち」を絡めて、質問を用意して伺ったところ、「ドラマはメッセージではない」という返事がいきなり返ってきていささか慌てたが、まさにこの山田氏のメッセージを正面から受け止めるしかないだろう。ドラマとは、人間の感情が揺れ動いていくことを描写していく面白さなのだ。結論を与えるために作品を書いているわけではないと諭されたように思う。 もう一つの研究は00年代のドラマ作家についての研究を深めたことである。宮藤官久郎の「マンハッタンラブストーリー」「流星の絆」「木更津キャッツアイ」、木皿泉「すいか」「野ブタをプロデュース。」「セクシーボイスアンドロボ」などを見て、これらの00年代的ドラマがフィクションが無前提に成立し得ない、ポストモダン終焉後の日本社会を描いている点で山田太一作品と対照的であることを確認した。山田太一氏のせりふ劇の不自然さが自然なものと見えたポストモダン社会についてさらなる考察を深めていく予定である。
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