2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20530487
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
池岡 義孝 Waseda University, 人間科学学術院, 教授 (90151274)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松木 洋人 東京福祉大学, 短期大学部・子ども学科, 専任講師 (70434339)
木戸 功 札幌学院大学, 人文学部, 准教授 (80298182)
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Keywords | 家族社会学 / 家族研究史 / 家族学説史 / 知識社会学 / 戦後日本 |
Research Abstract |
本研究は、戦後日本における家族社会学の成立と展開を、終戦直後から1970年代にかけての約30年の時間幅のなかで検討するものである。2年目の今年度は、戦後の家族社会学の主流とは一線を画すマルクス主義家族社会学を構想した研究者に焦点をあてた。 今年度インタビューを行うことができたのは、山手茂先生(東洋大学名誉教授、1932年生まれ81歳)と飯田哲也先生(立命館大学名誉教授、1936年生まれ73歳)のお二人だった。お二人には、あらかじめ依頼しておいた質問項目(1.大学時代の社会学研究と社会調査の経験、2.家族社会学研究を始めるに至った経緯、3.その当時の家族社会学研究に対する評価、4.その後の家族の実態および家族社会学研究の展開と、先生ご自身の家族社会学研究の関連)を中心に2時間ほど自由にお話しいただいたあと、さらに2時間ほど質疑応答を行い、理解を深めることとした。 これまで、マルクス主義家族社会学の研究者は同質的なものとして一括されることが多かったが、お二人のお話からは、相互に異なる点も多くその多様性が浮きぼりになった。山手先生の場合には、恩師である福武直先生の影響力がつよく、福武先生が戦後すぐに掲げた「日本社会の民主化」を、その後も一貫して家族や医療、福祉の領域で継続的に追求したものであることが理解された。飯田先生の場合には、ドイツを中心とした社会学理論研究者としてのスタンスがきわめてつよく、そうした理論家が家族を対象とした社会学研究に取り組んだ結果、独自の理論構築がなされたものであることが理解できた。したがって、マルクス主義家族社会学は、主流派に対する批判勢力として一括して位置づけるのではなく、それぞれがいかなる目的でどのような特徴をもって主流派に対抗したかを検討することが必要であり、そのことによって戦後日本の家族社会学の展開の理解が深まるものと思われる。
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Research Products
(4 results)