2010 Fiscal Year Annual Research Report
シリコンバレーの変容と地域イノベーションモデルの再構築
Project/Area Number |
20530491
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Research Institution | Nagano University |
Principal Investigator |
京谷 栄二 長野大学, 環境ツーリズム学部, 教授 (90195397)
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Keywords | 地域 / イノベーション / シリコンバレー / アジア / 国際比較 |
Research Abstract |
本年度は8月14日から16日にアメリカ合衆国アトランタ市で開催されたアメリカ社会学会大会に参加しグローバル化がもたらす問題と社会学の現代的使命を検討するパブリック社会学に関する情報を収集した。大会ではブッシュ政権下で進められた金融規制の緩和と軍事戦略が国の内外で経済的および政治的混乱を拡大している状況が報告された。また1994年の大会におけるマイケル・ブラウォイによる提唱以降、パブリック社会学への関心が高まり、公衆衛生、社会福祉、地方財政などさまざまな分野においてパブリック社会学の教育研究が展開されている。 さらに日本とアジアのIT産業新興地域との関係にかんして、10月28日から11月1日にかけて多くの日系企業が進出する珠江デルタ地域で調査を行った。この地域では従来の低賃金労働力に依存した外国企業の委託加工生産から脱却する必要性と、それを可能とするモデルの構築が重要な課題となっており、自動車、電機、家具などいろいろな産業で独自な製品を開発する地元企業の育成に力が注がれている。しかし同時に広州市や江門市など都市部の郊外に広がる広大な農村地帯では海外企業の誘致をめざした工業区の開発が進められている。 また本年度は社会学的な調査研究が社会にいかなる貢献をなしうるのかを解明するために、パブリック社会学の国際的な議論の検討に多くの時間と労力を割いた。その結果、パブリック社会学に対してしばしばなされる「党派的で学問的性格を欠く」という批判が妥当ではないことが明確になり、日本の社会学が理論のみならず社会運動、地域、労働、フェミニズム、知識人論などさまざまな研究領域からパブリック社会学の国際的議論に寄与できることがわかった。
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Research Products
(1 results)