2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20530494
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Research Institution | Kyoto Women's University |
Principal Investigator |
井上 眞理子 Kyoto Women's University, 現代社会学部, 教授 (50137171)
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Keywords | 家庭内暴力 / 非行 / 広汎性発達障害 / 対人的相互作用の障害 / コミュニケーション障害 / いじめられ経験 / 被虐待経験 / セルフ・エスティームの低下 |
Research Abstract |
平成20年度においては、全般的な文献研究を行ったが、特に「広汎性発達障害」を抱える青少年における暴力・非行の問題に焦点を絞った。 広汎性発達障害のうち自閉症の概念は、1943年に発表されたL.Kannerの論文「情緒的接触の自閉的障害」に起源を有している。またKannerの論文が発表された翌年の1944年、H.As-pergerは「小児期の自閉的精神病質」という論文を発表したが、長い間注目されなかった。 Aspergerの論文が再評価されるのは、1981年のL.Wingの論文「アスペルガー症候群:臨床知見」においてであり、彼女はこの論文において、アスペルガー症候群を自閉症スペクトラム(広汎性発達障害)の一つとして位置づけた。 アスペルガー症候群などの広汎性発達障害が直接的に、暴力や非行を惹起するという根拠は今日に至るまで得られていない。広汎性発達障害を抱える青少年が示す傾向、すなわち、自分の行動が他人に及ぼす影響を認識できないこと、強迫的に追い詰めること、表情や状況を理解できないこと、他人に利用されやすいこと、規則をかたくなに守ろうとすること、等は、暴力や非行の直接的な動機というよりは、間接的な理由ないし形式面における関連性というべきであろう。見落としてはならないのは、広汎性発達障害を有する青少年の生育暦における被虐待経験やいじめられ経験の存在である。これらの経験は、広汎性発達障害を有する青少年のセルフ・エスティームの低下をもたらし、このことが暴力や非行に対する閾値を低下させている可能性があるという点である。
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Research Products
(5 results)