2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20530494
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Research Institution | Kyoto Women's University |
Principal Investigator |
井上 眞理子 Kyoto Women's University, 現代社会学部, 教授 (50137171)
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Keywords | 子による家庭内暴力 / リスク要因 / ABC-Xモデル / 二重ABC-Xモデル / ストレッサーへの2段階適応モデル / Nested Ecological Theory / 都道府県警察本部少年課 / 親子関係 |
Research Abstract |
まず諸文献に拠りながら、理論的枠組みのさらなる精緻化をはかった。内容は以下のとおりである。家庭内暴力発生を説明する方法として、さまざまなリスク要因を挙げるというのがあるが、これでは要因相互の関係や発生のダイナミックスが明らかにならない。その欠点を克服するものとして、たとえばNested Ecological Theoryがある(Cottrell & Monk, 2004等)。これは諸要因をMacrosystem(文化、信念等)、Exosystem(社会的要因)、Microsystem(家族ダイナミックス)、Ontogeny(個人的要因)に分類し、各々のシステムが相互に他のシステムの外的環境となって影響を与え合うと考える理論であるが、特に文化的価値や信念システムの包括的な影響を重視する。また特に家族システム内のダイナミックスに焦点を絞る方法もある。家族社会学における従来の家族ストレス論では、R・ヒルの「ABC-Xモデル」(Hill, R.1949)やH・I・マッカボンやJ・M・パターソン(McCbbin & Patterson, 1983)があり、ストレッサーに対して家族システムが認識=意味づけに基づき、その資源を動員して適応する、あるいは適応に失敗するプロセスを描き出している。報告者の井上も「ストレッサーへの2段階適応モデル」を提起しているが、これは前述のNested Ecological Theoryにやや類似するものである(拙著『ファミリー・バイオレンス-子ども虐待発生のメカニズム-」、『平成16~17年度科学研究補助金(基盤研究(C))研究成果報告書 子ども虐待への臨床社会学的介入』等参照)。 調査については、全国都道府県警察本部少年課に対して、質問紙調査を実施した。質問内容は、少年による家庭内暴力の過去5年間の認知件数、親子関係の特徴、少年の性格特性、助言・指導の方針等である。この質問紙調査の回答に関しては、現在集計・分析中である。
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Research Products
(1 results)