2009 Fiscal Year Annual Research Report
エスニシティの多様性を活用したコミュニティの創造に関する社会学的研究
Project/Area Number |
20530501
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Research Institution | Notre Dame Seishin University |
Principal Investigator |
二階堂 裕子 Notre Dame Seishin University, 文学部, 准教授 (30382005)
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Keywords | 社会学 / エスニシティ / 多様性 / コミュニティ |
Research Abstract |
本年度は、在日外国人の集住地区である神戸市中央区および長田区で、外国人住民の生活を支援する市民グループの活動についてフィールドワークを行なった。 そのひとつは、在日コリアンの高齢者を支援する給食サービスの取り組みである。このサービスに関わっている在日コリアン高齢者のなかには、1995年の阪神・淡路大震災で住宅を失い、復興住宅での孤独な生活を余儀なくされている人が少なくない。また、文字の読み書きが不自由で、さまざまな情報ヘアクセスすることが困難であるため、日常生活に支障をきたしている高齢者も目立つ。こうした高齢者にとっては、この活動への参加が親密な関係づくりに役立つだけではなく、各種の情報収集の機会としても機能していた。この活動を支えているのは、在日コリアンと日本人の地域住民ボランティア・メンバーであった。 このほか、ベトナム人研修生・技能実習生の日本語学習を支援する活動は、研修生・技能実習生、および彼らを雇用する企業の双方の要請を受けて開始された。この取り組みを進めているのは、NPO、同業者組合、そして市民ボランティアである。異質な主体の協働事業として、今後この活動がどのような成果を生み出していくかが期待される。 こうした外国人住民の生活支援がいずれも阪神・淡路大震災以後に本格化していることは、注目に値するだろう。そこで、震災の被災体験と外国人住民に対する意識の間にいかなる関連があるかを検証するため、神戸市中央区の日本人住民を対象とした量的調査を実施すべく、調査票の作成やサンプリングの準備等を行なった。来年度早々に調査票を送付し、その後、収集したデータの分析を実施する予定である。
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