2010 Fiscal Year Annual Research Report
エスニシティの多様性を活用したコミュニティの創造に関する社会学的研究
Project/Area Number |
20530501
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Research Institution | The Great Hanshin-Awaji Earthquake Memorial Disaster Reduction and Human Renovation Institution |
Principal Investigator |
二階堂 裕子 ノートルダム清心女子大学, 文学部, 准教授 (30382005)
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Keywords | 社会学 / エスニシティ / 多様性 / コミュニティ |
Research Abstract |
本年度は、在日外国人の集住地区である神戸市中央区において、日本人住民1,000人を対象とした量的調査を実施した。本調査の前提となったのは、社会的剥奪状況下において、異なる民族間の協働関係が促されるという民族関係仮説である。阪神・淡路大震災の後、国籍やエスニシティの違いを超えて住民が連帯し、相互に救援活動を展開したことはよく知られている。被災体験の共有がその後の日本人と外国人の関係に与える影響を明らかにすることが、ここでの目的であった。 その結果、震災当時、被災地で生活していた人のうち、現在外国人と日常的なつきあいがあるのは、震災後、近隣の人々を救出したり生活相談に乗ったりした人のほうが、そうした援助をしなかったと答えた人よりも多かった。また、日本人と外国入のつきあいに対する考え方と、震災後における救援活動の経験の有無にも相関が見られた。本調査の結果から、災害の発生にともなう剥奪状況の共有体験は、防災活動に対する意識を高め、同じ地域で暮らす住民どうしの連帯を促す可能性のあることが示唆された。 これに加えて、昨年度に引き続き、NPO、行政、企業(および研修生受け入れ組合)によるベトナム人研修生・技能実習生の日本語学習支援活動に関するフィールドワークを行った。収集したデータをもとに、この活動に関わる各主体間の役割分担と連帯のしくみを整理して、学会や研究会等で報告した。実質的に、「安価な労働力」としての研修生の受け入れが急速に進むなか、こうした取り組みが開始されたことは、地域社会の多民族化・多文化化のあり方を検討するうえで、きわめて興味深い。今後もフィールドワークを継続して、本活動の可能性と課題を明らかにする予定である。
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