2010 Fiscal Year Annual Research Report
介護支援専門員の困難事例に対するイメージと表象の分析
Project/Area Number |
20530527
|
Research Institution | Akita University of Nursing and Welfare |
Principal Investigator |
工藤 英明 秋田看護福祉大学, 看護福祉学部, 講師 (60424008)
|
Keywords | 社会福祉 / 介護支援専門員 / 困難事例 / 表象 / ソーシャルワーク |
Research Abstract |
本研究は、援助者が利用者に抱く困難と感じる表象やイメージを分析することで、困難を軽減させる援助方法を模索していくことを目的とした。 22年度は、21年度に実施した(1)北東北三県の居宅介護支援事業所1222ヶ所2444名の介護支援専門員を対象とした郵送調査、(2)271名の介護支援専門員を対象とした集合調査、以上二つの調査結果の分析及び学会報告を行った。 (1)の分析結果から、介護支援専門員に困難感を認識させていた事例の上位を占めるキーワードは、「認知症」「一人暮らし」「家族」「経済」「キーパーソン」「わがまま」「拒否」等であった。これらのキーワードは単独又は複合しあって介護支援専門員に困難事例と認識させていた。また、介護支援専門員が困難と感じた要因では、「家族関係」「性格」「経済問題」「関係性」等介護以外の問題を多く取り上げていた。これらの結果から、介護支援専門員が抱える困難事例の具体的イメージが浮き彫りとなった。他方、介護支援専門員の有する基礎資格によっては、日常の自己学習や専門的知識、援助実践に差異が認められ、介護支援専門員の有する基礎資格によって、困難事例の有無や介護支援専門員にとって困難となる特徴が異なる可能性が示唆された。(2)の分析結果からは、介護支援専門員は、困難と感じている事例に「否定的イメージ」を強く抱いていることが明らかとなった。また介護支援専門員の最終学歴力咽難事例の「道徳性」イメージと関連しており、広くは専門職教育のあり方がイメージに影響している可能性も示唆された。 本研究結果からは、介護支援専門員の抱える困難事例の具体的イメージ、困難事例を抱える介護支援専門員の特徴、介護支援専門員は困難事例に否定的イメージを向けていることが把握できた。しかしながら、介護支援専門員が事例に対して困難と感じる要因や相互の影響までは言及できなかった。この課題については、本研究で得られたデータを活用し、今後も分析を継続していく予定である。
|