2010 Fiscal Year Annual Research Report
プロシューマーによる循環的支援関係のモデル構築に関する研究
Project/Area Number |
20530531
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Research Institution | Seigakuin University |
Principal Investigator |
相川 章子 聖学院大学, 人間福祉学部, 准教授 (60383303)
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Keywords | 障害者福祉 / ピアサポート / プロシューマー / 質的研究 / 語り(ナラティブ) |
Research Abstract |
本研究の目的は、障がい福祉分野おいてサービスの受け手でありかつ送り手である人(以下、プロシューマー)に焦点を当て、受け手と送り手の二つのポジションを行き来するところの構造を明らかにすると共に、プロシューマー導入によりプロシューマー自身の変化およびシステム全体の力動的変化の具体について明らかにすることである。これまで、先行研究によりプロシューマー生成の系譜について、(1)セルフヘルプ、(2)権利擁護、(3)就労・働くの三つの系譜とそれらを包括する「リカバリー」概念について整理した(平成20年度報告)。また、先行実践として、北米にいてケアチームの一員として働いているプロシューマーのきっかけとなった州認定資格制度について現状を明らかにした(平成21年度)。そのうえでプロシューマーおよびその雇用主、同僚を対象に日本(34名)および北米(31名)にインタビュー調査を実施し、「ポジション」を軸に【やりがい】と《葛藤》の語りを分析し、日米比較を行った。その結果、日本のプロシューマーは辞職・休職事例が多く、また《葛藤》の語りが豊かに表れ、一方北米では【やりがい】の語りが豊かであった。その差異に影響を及ぼしているのは社会的状況(スーパービジョンの有無、採用方法、雇用主や機関全体の考え方等)であり、さらには「プロシューマー・ポジション」の生成プロセスにあることが明らかとなった。 これまでの受け手・送り手間の線形的支援関係に、新たなポジションとしてプロシューマーが導入されることにより力動的変革を起こし、循環的支援関係を構築する可能性をもたらす新たな職種であることが北米の先行実践からも明らかになっている。わが国においては未だ実証的研究は皆無に等しいなか、本研究はプロシューマーの構造およびその実態を明らかにしたことで今後の可能性の具体を示した意義は大きいと考える。
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Research Products
(6 results)