2011 Fiscal Year Annual Research Report
児童虐待の意思決定過程における日本型当事者参画モデルの構築に関する研究
Project/Area Number |
20530535
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Research Institution | Japan Women's University |
Principal Investigator |
林 浩康 日本女子大学, 人間社会学部, 教授 (70254571)
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Keywords | ファミリーグループ・カンファレンス / 親族里親 |
Research Abstract |
ファミリーグループ・カンファレンス(以下、FGC)に関する実施状況を学ぶためにオランダを訪問した。FGCに関する国際会議もオランダで実施され、ヨーロッパにおけるFGCの実施状況に関する情報が得られた。また、国内では、当事者参画型の実践を行っている児童相談所(以下、児相)関係者に対しインタビューを行い、その現状や課題に関する情報を入手できた。 親族里親の活用に際して、FGCは効果的ではあるが、決してFGCは親族里親を見出すための会議ではなく、当事者が必要とする援助内容や、子どもが生活場所などについて考える場であることが明らかとなった。また、児相の児童福祉司は単独で当事者に関与するのではなく、虐待ケースにおいては、FGC準備過程から、別の専門職が関与する重要性が確認できた。すなわち親と対立傾向にある児童福祉司とは異なった専門職をコーディネーターとして配置する重要性や、子どものアドボケイトの存在の重要性について改めて認識できた。 子ども虐待の援助過程において複数の専門職が関与し、各役割、立場が明確になっているのも、FGCを導入している国々における大きな特徴である。すなわち親と対立傾向にあるソーシャルワーカー以外に、子どものアドボケイト、より中立的立場から関与するコーディネーター、実際のサービスを提供する現場のソーシャルワーカーなど複数対応が基本となっている。こうした実践のあり方は日本においても参考となり、実際にK県の児童相談所で実施され、それなりの効果が得られた。 ファミリーグループは同居家族を意味せず、地域のインフォーマルネットワークを包括した概念である。日本語の家族に終始しないところに意味があり、日本ではコミュニティ会議とする方が妥当であるという意見も現場から聞かれ、今後の実践の方向性がより明確に定められた。
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