2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20530551
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
狭間 香代子 関西大学, 人間健康学部, 教授 (70331733)
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Keywords | 介護記録 / 記録の証拠化 / 情報の共有化 / 専門力の向上 / 質的調査 |
Research Abstract |
本年度は本研究の最終年であり、介護老人福祉施設の施設長などへのインタビュー内容を質的調査の手法によって分析し、その結果を報告書として作成した。調査結果の要約は以下の通りである。 データ化したインタビュー内容から、調査参加者が施設での介護記録の役割をどのように認識し、それに基づいてスタッフにどのように指示しているのかというプロセスとして、「記録の証拠化」「情報の共有化」「専門力の向上」という3つのカテゴリーを抽出した。そして、それらの中で「記録の証拠化」を中核的カテゴリーに位置づけた。 介護保険の施行以降、施設には各種の記録保持義務や開示義務が課されるようになっており、そのための対応に施設ではさまざまな取り組みを行っている。その結果、施設の介護記録がもっているスタッフ間の情報の共有やスタッフの専門力の向上のために役立てるという目的は、証拠化が重視される中で、後方に退いていることが明らかになった。 本研究の目的は、介護職が自らの実践を振返ることで専門性を向上させていくためには、経験知の積み重ねが必要であり、そのために実践を記録に残すことでそれらが可能になるという立場から開始された。しかしながら、実際には記録の証拠化が優先されていることが示された。今後の課題は、証拠化する介護記録からいかに専門力向上に結び付くような記録の方法を導き出せるかであると考えられる。
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Research Products
(1 results)