2011 Fiscal Year Annual Research Report
特別養護老人ホーム職員への死生学教育プログラムの開発と効果測定
Project/Area Number |
20530553
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
藤井 美和 関西学院大学, 人間福祉学部, 教授 (20330392)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
李 政元 関西学院大学, 総合政策学部, 准教授 (40388658)
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Keywords | 死生学教育 / 特別養護老人ホーム / 効果測定 |
Research Abstract |
平成23年度の計画に従い、特別養護老人ホームで看取りに関わる看護・福祉・介護専門職者を対象とした死生観教育を実施した。参加者は、大阪社会福祉協議会老人施設部会に所属する施設(約400施設)で看取り経験をしている福祉専門職者で、施設長から推薦された28名。平成24年1月に3回(3日間)計15時間の研修を実施し、効果測定を行った。第3回目の教育プログラム対象者は、第1,2回目に比べてターミナルケアに対する動機と経験の高い者とした。 測定に用いられた尺度は、平成21年度、22年度のものと同じ「死に対する態度尺度」である。本尺度は、「死の恐怖」「積極的受容」「中立的受容」「回避的受容」の4領域を測定するものである。教育プログラム実施前後に同じ尺度を用いてプログラムの効果測定を行った。 教育前後における4領域の因子得点の平均値の差の検定結果(t検定)は、次の通りであった。 「死の恐怖」(平均値の差=2.772,t(21)=1.987,p=.060)「積極的受容」(平均値の差=-1.772, t(21)=2.401, p=.026)、「中立的受容」(平均値の差=.045,t(21)=.495,p=.960)、「回避的受容」(平均値の差=-.682, t(21)=1.050, p=.306)。 死生観教育の効果として期待された「死の恐怖」は有意傾向、「積極的受容」については有意差が確認され、「中立的受容」「回避的受容」については有意差が確認されなかった。過去2回と今回の効果測定ともに、看取りスタッフの「死の恐怖」と「死の積極的受容」について、死生観教育プログラム実施前後で期待される変化が統計的に確認された。 本プログラムは、特別養護老人ホームで看取りに関わる看護・福祉・介護専門職者らの死の恐怖を緩和させ、利用者の死に対して積極的に受容していく態度を促進させる効果があることが明らかとなった。
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