2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20530554
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Research Institution | Konan Women's University |
Principal Investigator |
中村 陽子 園田学園女子大学, 健康科学部, 教授 (00341040)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
人見 裕江 近大姫路大学, 看護学部, 教授 (30259593)
西内 章 高知女子大学, 社会福祉学部, 准教授 (80364131)
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Keywords | 限界集落 / 高齢者 / 終末ケア / 暮らし / ケアマネジメント / 韓国 / 看取りの文化 / 社会資源 |
Research Abstract |
調査当時、調査地域の高齢化は51%であったが、更にこの3年間で進んでいる。限界集落における終末ケアの支援と社会資源の有効な活用のためのケアマネジメントが重要となっている。山岳地域で土葬の文化をもち、人々は「良し」とよばれる相互扶助の文化の中で死亡、前後から助け合って暮らしてきた。地域に数ヵ所ある神社仏閣を社会資源として活用することも重要であることの示唆をえた。また、看取りの文化と、地域の力の衰退は相互に関係していることが推測された。 本調査の韓国過疎地域における死亡場所としては在宅が多かったが終末期ケアは苦痛を和らげる医療的なケアが乏しく、介護は家族の負担となっていた。また、訪問看護師などの人材についても地域間の偏差があり確保が困難であった。今後の課題として終末期を支援するため在宅ケアを必要とする高齢者に、多様なサービスを包括的に支援するマネージメントの機能を強化し都市部と地方(過疎)の地域間偏差の解消をしなければならない。2008年長期療養保険制度が実施され、生活保護、低所得中心の福祉から普遍的な福祉に大きく変化し、福祉の外向的発展はなされたと言えるが本調査において、貧困のため介護負担が強く虐待を疑う事例もあった。保険制度の自己負担金(在宅15%、施設20%)を負担できずサービスを利用できない高齢者に対する負担額等への支援などの配慮が必要であるとの示唆をえた。韓国における過疎地域の終末期ケア支援は近隣の人々であり、宗教関係のボランティアの存在が大きかった。また、看取りの文化を大切に思う意識は、過疎の人々の終末期ケアの困難な現実とのジレンマになっていた。 今後は地域の往診医(訪問看護師)を中心に、看取りの経験者の知恵や地域相談員の支援を活用することにより、この地域らしい看取り方法が支援できる可能性が考えられた。
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Research Products
(5 results)