2008 Fiscal Year Annual Research Report
一般(定型発達)成人における社会的認知能力の個人差の測定法に関する実験的研究
Project/Area Number |
20530565
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
若林 明雄 Chiba University, 文学部, 教授 (30175062)
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Keywords | 社会的認知 / 感情 / 心の理論 / 定型発達成人 / 個人差 |
Research Abstract |
本年度は,社会的認知能力を測定するための課題の刺激用データベースを作成するために,プロの俳優により,代表的な社会的相互作用場面の台本に沿って,通常の日常的場面に最も近いと考えられるシーンを演じてもらい,それを録画した.そして,各刺激場面の登場人物の心的状態が,実験者側が想定したものと一致しているかどうかを確認するために,各刺激を見せた上で,100人の学生を対象に,それぞれ自由記述によって登場人物の心的状態について認知した内容について回答を求めた.この回答内容から,語句の重複などを整理するとともに,回答傾向に基づいて,次の課題で使用する選択肢を選定した.次年度においては,この課題に基づき,第2段階のデータ収集を行い,最終的な課題の作成の基礎データを得る予定である.また,各シーンの画像情報だけから構成された視覚情報課題と,音声情報だけから構成された聴覚情報課題を作成し,社会的認知能力の個人差についてモデュール別に測定可能なものを構築した。また,それとともに,より基礎的な社会的知覚能力を測定するために,目の部分だけの写真を刺激とした心的状態の推論課題と,視線方向の検出課題も作成した。これらの手続きによって,心理学的測度としての精度高い尺度を構成するとともに,各課題間の組み合わせや重要度の違いなどについても検討し,テスト・バッテリーを構成する予定である。 なお,この課題作成過程について,この領域の代表的研究機関であるケンブリッジ大学(英国)教授のDr.Baron-Cohenの研究チームを訪ね,実験のデモンストレーションを行うとともに,討議を通して意見を収集した。
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