2009 Fiscal Year Annual Research Report
一般(定型発達)成人における社会的認知能力の個人差の測定法に関する実験的研究
Project/Area Number |
20530565
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
若林 明雄 Chiba University, 文学部, 教授 (30175062)
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Keywords | 社会的認知 / 個人差 / 測定法 / 一般成人 |
Research Abstract |
成人の社会的認知能力に個人差が存在するということについては,経験的には知られているものの,実証的な研究はほとんど存在しない.しかし,神経科学等による脳機能の解明とともに,社会的認知能力の測定は、大きな課題となってきている.そこで,一般成人を対象とした社会的認知能力を測定するための課題を作成することが本研究の主要課題である.課題の刺激としては,プロの俳優により演じられた対人場面を録画し,それを「通常刺激(動画のまま)」「視覚刺激(画像のみ)」「音声刺激(音声のみ)」の3種類に加工し,それを刺激材料として、大学生を対象に,各刺激人物の心的状態の自由記述,それを元に整理した4肢選択形式による各刺激人物の心的状態についての選択率をデータとして,尺度構成法の手続きに従って,本年度は動画刺激課題について作成を行った.当動画課題を大学生を対象に実施した結果,課題成績の分散は,ある程度正規分布を示すこと,課題の信頼性は,許容節囲であることなどが確認された.この結果は,課題成績に一定の個人差が表れることを意味しており,当研究の基本的な目的が達成可能であることを示唆している.そこで,この課題成績と,社会的認知に関連する「共感性」との関連性を調べたところ,相関は極めて低かった.また,パーソナリティとしての協調性との関連性もあまり見られなかった.これらの結果は,当課題が従来の質問紙で測定されるような自己認知としての社会性とは独立した,パフォーマンスとしての社会的能力を測定していることを示唆している.
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Research Products
(1 results)