2009 Fiscal Year Annual Research Report
対人コミュニケーションの状況的・関係的モデルの比較文化的研究-自己認識を中心に
Project/Area Number |
20530567
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
高井 次郎 名古屋大学, 教育発達科学研究科, 教授 (00254269)
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Keywords | 対人コミュニケーション / 間接性・直接性 / 文化比較 / 対人葛藤 |
Research Abstract |
本年度は、昨年の大学生を対象とした文化比較から、社会人を対象として、日米のコミュニケーション・スタイルの比較を行った。これまでの日米比較研究におけるアノマリーの原因として、学生のサンプルによるバイアスがあげられているが、このことをさらに追究するため、学生対社会人の比較を、比較文化的な視点から実施する。昨年度実施した研究1のモデルの適合性を、日米各国において学生と社会人でどのように異なるのかを検証した。研究2でも、状況や関係性のプライミングを十分に行い、これらの変数における文化の違いを検討した。その結果、学生のサンプルにおけるコミュニケーション・スタイルの日米差は、社会人で同様の違いは確認できず、むしろ学生のサンプル同士および社会人のサンプル同士が類似していることがわかった。具体的には、学生は社会人よりも文化にかかわらず、より間接的なコミュニケーションを好み、社会人はより直接的なコミュニケーションを選好していた。また、日本人学生を対象に、対人葛藤の潜在化についての検討も行った。親密性と地位格差を変数とし、葛藤の潜在化の男女差を検討を実施した結果性差が確認され、女子の方がより潜在化しやすい一方、男子は顕在化しがちであった。一般的に、葛藤の潜在化は低親密および高地位の相手に対して行なわれやすいことも明確になった。なお、次年度に繰り越した研究費の実績は、シンガポールに於ける国際コミュニケーション学会大会において研究協力者のPeter Lee氏と投稿論文および今後の研究の打ち合わせであった。
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