2008 Fiscal Year Annual Research Report
他者の多様性への寛容:幼児、児童、青年における集団への受け入れに関する判断
Project/Area Number |
20530575
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
長谷川 真里 Yokohama City University, 国際総合科学部, 准教授 (10376973)
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Keywords | 寛容 / 排除 / 仲間関係 / 道徳性 |
Research Abstract |
本研究の目的は、幼児、児童、青年における、他者の多様性を受容する態度、つまり「寛容(tolerance)」の発達について、他者の集団への受け入れについての判断から検討するものである。集団排除は多面的な判断の過程であり、文脈の詳細な分析を必要とする。今年度は、文献調査を行った上で、判断において利用される文脈情報の確定を試みた。大学生を対象に、どのようなときに集団への受け入れを認めるのか、あるいは排除するのかについて質問紙による自由記述を求めた。その結果に基づき、文脈要因によりどのように排除の判断と理由づけが異なるのかを検討した。 自由記述方式の質問紙調査の結果、新規参入を拒否する理由として「性格の不一致」、「集団斉一性」、「集団内の関係」、「性格の悪さ」、「集団の損失」が抽出された。また、「仕事上の集団」「半公的集団」「私的集団」などの集団の特質によって、参入を拒否する正当化理由が異なっていた。「半公的集団」には、「私的集団」と「仕事上の集団」での新規参入拒否を正当化する理由の両方が含まれていた。次に、5種類の他者を拒否する場面を提示し、「集団排除の是非(対象者の当該集団への参入の拒否への賛成の程度)」「理由づけ」「対象者の変容要請(集団に加わるために対象者の特性は変わるべきか)」の判断を求めた。その結果、集団機能維持を根拠にするか、排除の道徳的不当性を根拠にするのかという、排除の正当性の理由づけが対象者の特性によって異なることが示唆された。以上のように、文脈情報を整理し、理由づけとの対応を確認した。今後は発達的な検討を予定している。
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