2008 Fiscal Year Annual Research Report
社会・経済変動と家族観の変容のメカニズム:文化的発達研究の理論化に向けて
Project/Area Number |
20530577
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Research Institution | Doshisha Women's College of Liberal Arts |
Principal Investigator |
塘 利枝子 Doshisha Women's College of Liberal Arts, 現代社会学部, 教授 (00300335)
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Keywords | 教科書 / 家族観 / 文化変容 / 社会変動 / 経済変動 / 発達 / 自己 |
Research Abstract |
(1)分析対象とする教科書と資料の収集・分析・結果 1950年、1970年、1980年、1990年出版の東アジア4ヶ国の教科書の中で、日本と台湾の教科書と関連資料を両国の図書館にて収集した。さらに日本の教科書については、1950〜2000年の時系列に沿って家族観と家族の関連領域である自己像についての分析を行った。台湾の教科書24冊分について翻訳を依頼し、翻訳が完成した物から分析に着手した。分析の結果、既に翻訳が済んでいる1960年と2000年の東アジア4ヶ国の教科書の家族観に関する再分析も含め、以下の考察が得られた。(1)教科書に描かれる家族内の子ども数について、その当時の実際の子ども数と比較すると、日本と中国においては、韓国と台湾に比べて理想と現実のずれが大きい傾向が見られた。(2)日本においては、時代によって変わらない「いい子」像が存在する一方で、期待される自己表出には、時代によって違いが見られ、社会・経済的な状況の変化の他に、日本では学習指導要領の変遷とも関連が見られた。(3)家族内の成員における男児選好の状況や、家族形態、家族内の性役割については、社会・経済変動によって変化している部分と変化していない部分があり、それらを整理することで、文化歴史的文脈の中で家族像が構築されていくことが示唆された。 (2)海外の外国人研究協力者との打合せと学会での発表 学会発表の場における日本国内外の外国人研究協力者との分析の打ち合わせ(インターネットでの常時打ち合わせも含む)を行うと共に、日本保育学会、日本心理学会、日本教育心理学会、International Congress of Psychology (ベルリン)において研究発表を行った。
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Research Products
(6 results)