2009 Fiscal Year Annual Research Report
社会・経済変動と家族観の変容のメカニズム:文化的発達研究の理論化に向けて
Project/Area Number |
20530577
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Research Institution | Doshisha Women's College of Liberal Arts |
Principal Investigator |
塘 利枝子 Doshisha Women's College of Liberal Arts, 現代社会学部, 教授 (00300335)
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Keywords | 教科書 / 家族観 / 文化変容 / 社会変動 / 経済変動 / 発達 / 自己 |
Research Abstract |
(1)分析対象とする教科書と資料の収集・分析・結果 1950年、1970年、1980年、1990年出版の東アジア4ヶ国の小学校教科書の中で、韓国の教科書と関連資料を両国の図書館にて収集すると共に、韓国の教科書の翻訳を1980年のみ完了し、家族観と家族内の親子関係から見る自己像についての分析を行い、来年度の発表に向けての準備を行った。また中国の教科書については、1980年の分は入手済みであり、翻訳が終了しつつあるため、翻訳が終了したものから順次分析に着手した。今までの日本や台湾の教科書分析や、既に翻訳が済んでいる1960年と2000年の東アジア4ヶ国の教科書の家族観に関する再分析も含め、以下の結果と考察が得られた。(1)教科書に描かれる家族内の子ども数に関する時代的な変化の仕方は、国・地域によって異なり、その当時の社会・経済状況の変化との関連性が見られると共に、子どもにどのような価値を付与するかも変化している。日本では1960年までに子どもの価値が、経済的・実用的価値から精神的価値へと変化し、台湾では1960~1980年の間に大きく変化したと考えられる。(2)父親と母親の登場数の変化にも、各国・地域の産業構造の変化との関連性が見られ、特に父親に対する家族内での位置の変化と社会状況の変化との関連性が見られた。(3)国内の変化のみならず、台湾の分析結果に見られたように、国際情勢が各国・地域に与える影響の強さによっても、家族内の自己像が異なることが見いだされた。 (2)海外の外国人研究協力者との打合せと学会での発表 2009年春に中国に行く予定であったが、新型インフルエンザ流行のために中止になった。したがってインターネットでのやりとりを中心に、学会発表の場において日本国内外の外国人研究協力者との分析の打ち合わせを行った。それと共に日本心理学会、日本発達心理学会において成果報告を行った。
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Research Products
(5 results)