2010 Fiscal Year Annual Research Report
社会・経済変動と家族観の変容のメカニズム:文化的発達研究の理論化に向けて
Project/Area Number |
20530577
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Research Institution | Doshisha Women's College of Liberal Arts |
Principal Investigator |
塘 利枝子 同志社女子大学, 現代社会学部, 教授 (00300335)
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Keywords | 教科書 / 家族観 / 文化変容 / 社会変動 / 経済変動 / 発達 / 自己 |
Research Abstract |
1. 分析対象とする教科書と資料の収集・翻訳・分析・結果 1950年~2010年までに10年毎に刊行された東アジア4ヶ国の小学校教科書をすべて収集した。中国の人民教育出版社の協力も得て、入手困難であった文化大革命時代の教科書も入手することができた。また教科書及び社会経済変動との関係を調べるための歴史教科書関連の資料を、ドイツ・ブランシュバイクのゲオルクエカート国際教科書研究センターにて収集した。 翻訳についても、韓国の1950年と韓国・中国・台湾の2010年の教科書を除き、翻訳を終了することができた。翻訳が終了したものから順次分析に着手した。昨年度は特に教科書に描かれた家族成員構成のあり方の変化のメカニズムについて分析したが、本年度は、親役割観の変化に焦点を当てて、変化のメカニズムを分析し、以下の結果と考察が得られた。(1)家族内における親役割観の変化は、特に父親において各国の産業構造の変化と関連があり、第一次産業から第二次・三次産業への移行時期の違いによって、父親の実際の世話に関する意識の変化に違いが見られた。(2)社会内における企業規模の違いも親役割観に違いをもたらす要因となっており、中小・家内企業の多さが、親の性役割観に違いをもたらしていた。(3)高等教育進学率増加の時期の違いや女性の就労状況の変化、保育施策等の違いが、教科書に反映された各国の家族観の変化の違いにも影響を与えていた。 2. 結果の公表 以上の結果を、研究協力者と共に日本教育心理学会、日本発達心理学会において成果報告を行った。また国外の研究者も含めて2011年度国際学会にて発表すると共に、台湾での招待講演に向けて準備を進めている。
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Research Products
(4 results)