2011 Fiscal Year Annual Research Report
社会・経済変動と家族観の変容のメカニズム:文化的発達研究の理論化に向けて
Project/Area Number |
20530577
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Research Institution | Doshisha Women's College of Liberal Arts |
Principal Investigator |
塘 利枝子 同志社女子大学, 現代社会学部, 教授 (00300335)
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Keywords | 教科書 / 家族観 / 文化変容 / 社会変動 / 経済変動 / 発達 / 自己 / 東アジア |
Research Abstract |
1.分析対象とする教科書と資料の翻訳・分析・結果 1950~2010年の日本、中国、韓国、台湾の小学校教科書を収集し、2000年出版まではすべて翻訳と分析作業を終了した。しかし、2010年の韓国と台湾の翻訳作業が一部終了しておらず、それを含めての分析作業をすることにより、戦後60年の家族観の変遷と文化比較を行うことが可能となる。特に本年度は日本、中国、台湾で得られた質問紙調査の結果も併せて、親子間の関係性についての分析を行った。 本年度の研究成果は以下の3点にまとめられる。(1)日本、中国、韓国、台湾の4ヶ国とも親子関係に変化が見られ、上下関係から対等関係へと移っているが、特に日本の親子関係の変化は他の3ヶ国より先行してみられ、1980~1990年がその境目となる。(2)日本では少子化は親子関係を変えただけではなく、親の意識を変化させた。一方、台湾・韓国における少子化は、親に対する子どもの態度に影響を与えている。中国は少子化という社会状況というよりは、国家理念尊守をどの程度国家が強く国民に求めようとするかが、親子関係に影響を与えている。(3)社会構造の民主化や少子化が進むにつれて、子どもが親に対して対等の関係を持つようになる。以上の結果をもとに、今年度は最終年度であるため、社会・経済変動やそれに伴う産業形態、政治形態の変化と家族観に影響を及ぼすメカニズムについて分析考察を行った。 2.結果の公表 以上の結果を、研究協力者と共に日本発達心理学会、European Congress of Psychology、Asian Association of Social Psychologyにおいて成果報告を行った。また教科書の文化比較や歴史的変遷について研究をしていることが認められ、台湾の台北市からの招聘を受けて講演を行った。今後は本研究の成果を論文や図書に発表していく予定である。
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Research Products
(4 results)