Research Abstract |
本年度は,地域防災リーダーの養成を目的にした各種の講座や研修・訓練プログラムの事例をデータベース化し,主体的な取り組みを支援する観点から,プログラム内容の詳細な分析を実施した。分析の目的は,自主防災組織の組織化や活性化に向けた防災リーダーの参加・関与行動を促進する要素の抽出であり,地域防災リーダー養成プログラムを構成する際の直接的な資料とする。 また並行して実施した研修事例のヒアリングでは,共通する問題として,参加者の高齢化や若年層が参加しにくい研修時間の設定などが明らかになる一方で,若年層に向けた新たな試みが見られ,参加・関与型のプログラム作りに向けて,有効な知見が得られた。 また仮想訓練システム(STEP)の実施は,首都圏および関西圏で,主に学生を中心にして行った。これは,仮想訓練システムの改訂を主な目的とするものであるが,これまで確認されてきた運用上の5つの課題-1)仮想状況の説明と合意に関する課題,2)参加者のマニュアル的対応に関する課題,3)日常でのリアルな役割と関連する課題,4)状況変化の速度と総訓練時間に関する課題,5)什器・機材のセッティング-に加え,「阪神・淡路大震災」という経験が,大学生以下の年代では,共通の震災経験としての位置づけが薄れてきていることが明らかになった。これまで,「阪神・淡路大震災」は,各種の防災訓練や研修において,被害想定の規模や予想されるトラブルの内容について,リアリティを高める役割を担ってきたが,共通経験としての位置づけが薄れてきていることで,今後,防災訓練や研修におけるリアリティの高め方を検討する必要がある。
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